「!」

後ろからやってきた長い……槍の様な物が、美紗の右腹部を掠める。

最初はヴェルディの攻撃かと思ったが、目前でヴェルディは白銀界に閉じ込められている。

キャルナスが攻撃してくるわけがない。

では……

「飛来!!」

槍を握り締め、にっこりと微笑するのは棟橋 飛来……彼女だった。

「初めまして、キャルナス先輩。

そして、白江 美紗様。」

……初めて感じる憎悪。

其れは鎖葉斗にも、ウィオ・シェルダンにも、目前のヴェルディにも無い物。

本気で自分……白江 美紗を憎む気だ。

「貴女は……誰なの……?」

美紗の問い掛けに飛来は笑った。

高々と笑い声は、静まり返ったアリアードに響く。

「にゅははは!

わたくしはぁ茶亜夢。

爾来様にぃ仕える、支配下の一人なの!」

変貌した飛来は、瞳を三月の様な金色に染め、笑い続ける。

「貴女が、No.7の茶亜夢だったのですか……

お会い出来て光栄だ。」

冷たい目でキャルナスは飛来……茶亜夢を見据える。

美紗はショックの剰りに地に跪く。

「あたし達を騙したの……!?

飛来……」

茶亜夢は美紗の顔面を、赤いハイヒールを履いている右足で蹴る。

美紗は何とかギリギリの回避で交わしたが、左目から血が流れる。

「しつこい女。

わたくしは茶亜夢。

最初から飛来なんて存在しないわよ。

アリアードに先刻乗り込み、みーんな惨殺。

そのうちの一人の光矢の肉体を基礎に、魔法陣でヴェルディ様を蘇生。

ヴェルディ様が完全体になぁるまで、わたくしは棟橋 飛来を装って、足止め。

で、最終的に此処、アリアードに呼び出したのぉ。

まんまと引っかかっちゃってさぁ!

本当に可笑しいわぁ!」