執事の名のもとに







美優に叱られて俺の周りにいた女子はそそくさといなくなった。 



「ありがとう、助かった。」



ため息をつくと彼女は笑った。 



「たいしたことじゃないわ、皆をまとめるのも私の役目だし。」



「いや、本当に助かったよ。あんな風に囲まれたの初めてだったから、どうすればいいか分からなかったし。敦を尊敬するよ。」



「そうね。敦は顔色変えずに皆に接するから凄いと思うわ。」 



「晴馬、そろそろ帰るぞ。」



敦が遠くのほうから呼んできた。 



「そろそろお開きね、また会えるのを楽しみにしてるわ。」



「俺も、楽しみにしてる。」



右手を軽く上げて敦のほうに走った。 



「中原晴馬。もっと知りたくなっちゃったな。」



俺が去ったあとに美優がそんなことを呟いたことはもちろん俺は知らない。