まず、試験は筆記。



そして実技で、最後に料理。



「敦は楽勝だろ?」



片付け終わった段ボールをガムテープで止める。



「………」



敦を見るとさっきから手も止まっていて、ぼーっとしていた。



「敦…?」



「…あ、まぁな。俺を誰だと思ってんだよ。」



肩を叩くとようやく気付いて笑いながらまた手を動かし始めた。



でも明らかいつもと違う。


この時俺はまったく気にも止めずにまた作業を始めた。



だけど、俺はこの時敦が抱えていた悩みに気付きもしなかった。



いや、気付こうとしなかった…。



ごめんな、敦…。