誰も乗り込む事なく

誰も降りる事なく

電車は進む。

…………………。

車内は妙な静けさを保っている。

「んっ?」

幸平は気付いた。

この電車がさっきから三駅程停車せずに走っている事を。

他の三人も挙動がおかしくなっている。

   「脱線事故」   

嫌な言葉が頭を過ぎる。

考えたくは無い。

だが

考えずにはいられない。

「ちっ。」

幸平は席を立ち、運転士のいる方へと走りだした。

「気をつけろったってどうすりゃいいんだ。」

幸平はボソッと呟いた。