「中は意外に新しいな、しかもここには先生たちの部屋もないしやりたい放題だな」
 荷物を運び込んで、スキーウェアに着替え終わった僕たちは「大富豪」をしていた。
 「まあ、それぐらいの役得が無いと本館との落差はひど過ぎるしね」
 誠二がダイヤの13を置きながらそう言った。
 「しかもこの部屋5人部屋らしいぞ、入り口の脇に布団の敷き方が書いてあった」
 そう言って僕は残り少ない手札からハートの2を置いた。
 「窓際は寒いから中寄りに寝たいがそれじゃあテレビが見れないな」
 そう言って正隆がジョーカーを置いて、続けて残り3枚の手札を置いた(4の3枚出しだった)
 「コンセントさし直して移動させるしかねえな」
 僕は近くにあるコンセントまでテレビを持って行くとコンセントをさし込もう
とすると
 「何かこのコンセントの周り焦げた後があるぞ」
 「ほんとだ、でもこれかなり色あせてるしそうとう昔の物じゃないかな」
 コンセントを覗き込んだ誠二がそう言ってもう一つの穴に携帯の充電器をさし込んだ。

 ちゃらららっちゃっちゃっちゃー
 
 某有名ゲームのレベルアップの音がした、正隆の携帯にメールが届いたらしい。
 携帯を手に取った正隆がこうつぶやいた。
 「これはひどいな」
 正隆が携帯を渡して来た。
 「確かにひどい」
 僕はその携帯を更に誠二に渡した。
 「これを見なければ幸せでいられたね」
 正隆の携帯に送られて来たメールには本館の部屋の写メが添付されていた。
 僕たちの部屋は和風と洋風の混じった何だから分からない部屋だったが、写メのそれはこの部屋とは全く違う綺麗な和室だった。