女優デビュー

「冗談だよ、冗談」

学さんはクスクス笑いながら、何もなかったかのようにお店の人にウーロン茶を2つ頼んだ。

ううう~~~っ!
悔しい!!


オーダーを確認したお店の人が下がると、学さんは私の顔をじっと見つめてきた。

「千夏ちゃんって面白いな。
気に入った」

「はあ?」


面白いから気に入ったって、なんか微妙。

なんか私、すっかり学さんのおもちゃ状態だ。

私は唇をとがらせて返事をしなかった。

しかし、学さんはそんな私の反応すら面白がっていた。

「まあまあ、そうふくれるなよ。
それよりさ、最近ずいぶん勉強熱心じゃん。
悟にセリフの練習つき合わせたり、舞台見に行ったり。
誰かにそうしろって言われたの?」