女優デビュー

「だからさ」


笑いが治まると、また学さんは私の顔を見て話し出した。


「俺はいつか千夏と結婚したいと思ってる。
この指輪はそういう俺の気持ちの証」


「学さん……」


「千夏も結婚できる年になったことだしね。
でも、焦ってるわけじゃない。
ただ、俺はさ、過去にいろいろあったから、千夏にちゃんと俺の真剣な気持ちを信じてもらいたかったんだ」


「ああ……」


私は学さんのいくつかのスキャンダルを思い出した。


「知ってるだろ?
山本社長に仕組まれたのは別だけど、俺、今までも何度か業界の子と付き合ってたからさ。
もちろん、全部本気の恋だったけど、芸能界にいると軽く見られがちだから。
千夏はまだ、業界に入って日が浅いから、俺のこと、いいかげんなやつだと思ってるかもって思ってさ」


学さん、そんなこと心配してたんだ……


「いや、もちろん、指輪一つで何が証明できるんだって言われたらそれまでなんだけど、まあ俺の自己満足かもしれないけどさ、一つのけじめっていうか……」


学さんはしどろもどろだったけど、気持ちはすごく伝わってきた。


だから、私は微笑んで「うん」って大きく頷いた。


すると、学さんも安心したように微笑んだ。