女優デビュー

私は思わず確認した。


「ホント?」


「ああ。
千夏はどの世界でも、きっとその場でできる限りの努力をするだろうし、前向きに生きていくと思う。
そういう千夏が俺は好きなんだ。
それに……」


そこで学さんは意味ありげに言葉を切った。


なんだろうと思って先を促すと、


「からかうと面白いとこもな」


そう言って笑った。


「もう!」


私は肘で学さんをつついた。


ホントは手で叩きたかったんだけど、私の両手は学さんの手のひらに包まれたままだったから。


私のより、指が長くて筋張ってて大きい手。


男の人の手。


温かくて、すごく安心できる手。