女優デビュー

私が生まれた時間の1分前。


二人で、1分経つ間、時計を見つめた。


そして、時計が【16:48】になった瞬間――


「16年前の今日、生まれてきてくれて感謝してる。
誕生日おめでとう」


学さんはプレゼントの箱を私の手に乗せた。


「ありがと」


遊園地で怒っていたことなど忘れ、私は感動しながらプレゼントを受け取った。


「開けて」


学さんに促され、リボンを解いた。


出てきたのは、指輪だった。


しかも、


「これ、すごく高そう……」


思わずつぶやくと、学さんは平然と答えた。


「ああ、ダイヤだからね」


「ダイヤ?!」


大粒のダイヤモンドのついた指輪だった。