女優デビュー

しかし。


「ぎゃあああああ!」


「いやあああああ!」


「やだあああああ!」



トロッコのような乗り物が出口に近づく頃には、私は叫び疲れてぐったりしていた。


一方、学さんは元気を取り戻したらしい。


「千夏の新しい一面を見られて有意義だった」


なんて、ものすごく腹黒い顔でニヤニヤしていた。


それなのに、


「ねえねえ、あれ、庄司学じゃない?」


「やだ、マジ、かっこいい~」


なんて声が聞こえてくると、すました笑顔で手なんか振っちゃって。


ほら、二人連れのおねーさんたち、キャーキャー喜んでる。


なんかムカつく。