学さんに送ってもらい、別れ際にもう1度キスして家に入ると、珍しく母が出迎えてくれた。



「心配したのよ、何にも言わずにいなくなっちゃって!」


「ごめんなさい」


「まあ、いいわ。
お母さんも悪かったし。
瑞貴に頼んで例のことは表に出さないようにしてもらったから」


私は驚いた。


「そんなことできるの?
だって写真週刊誌の記者が……」


私が言い募ると、母はなんでもないというように手を振って答えた。


「瑞貴くらいの立場になると、いろいろ情報操作もできるみたいよ。
私がリィラってことも、千夏がその娘ってことも記事にはならないって」


すごい。


社長って、どんな人脈を持ってるんだろ。


まだ好きにはなれないけど、その手腕は素直にすごいと思った。