女優デビュー

「そっか。
じゃあ、もう敬語は使うな」


「え？」


「俺も千夏って呼ぶ。
千夏も学って呼べ」


「ええっ？」


それは無理！


私は必死に言い訳を考えた。


「そんな呼び方してるの奏真君に見つかったら！」


すると、学さんは私の顎をなぞりながら軽く答えた。


「ああ、あいつのことは心配するな。
いずれ何とかしなきゃとは思ってたんだ。
千夏には指一本触れさせない」


「でも、どうやって？」


不安になって聞くと、学さんはニヤリと笑った。


「ちょっと脅しとくわ」


ひえーーーっ


なんかすっごく腹黒い顔になってるよ、学さん。


ちょっと引いてたら、唇を指でなぞられた。