女優デビュー

泣きそうな気分でいると、学さんは車を路肩に止めた。


ん?


ここ、何にもないけど?


不審に思って学さんを見た。


「学さん?」


学さんは前を見たまま言った。


「今日俺にしようとしてた相談ってその話?」


「え?ああ、はい」


私が頷くと、学さんは私を見た。


「俺に練習を頼むつもりだった?」


「え?
いえ、そうじゃなくて……」


私が慌てて否定すると、


学さんはすばやく自分のシートベルトをはずし、私に覆いかぶさってきた。


「きゃっ」


反射的に身をすくめると、学さんは私の目の前で動きを止めた。


そしてそのままの姿勢で私に囁いた。