女優デビュー

「私、うちに帰ります」

『ああ、それがいい。
迎えに行くよ、どこにいる?』

「いいですよ、まだ電車もあるし」

『だめだ、女の子が一人で夜道を歩いてたら誰に何されるかわかんないだろ』

「やめてください。
なんか学さん、お父さんみたい」


私はいつしか学さんとの会話を楽しんでいた。


『おいおい、俺もそこまで年取ってないぞ。
好きな女を心配してるだけだよ』


!?


『ほら、どこに行けばいい?
もう俺の方は、車のエンジンかけて準備万端だ。
右に行くべきか左に行くべきか教えてくれ』