坂を登って、公園内の展望台に着いたのは夜の10時を回った頃だった。
私は以前学さんと一緒に夜景を見た横浜の公園に来ていた。
本当は今日、学さんに告白するつもりだったのに。
最悪。
でも、港を見下ろしネオンを眺めていると、ここに一緒に来た時のことを思い出して、少し気持ちが晴れた。
学さん、私をからかって、上着代わりだなんて言って後ろから抱きしめてくれたっけ。
もうあの時から、私は学さんを好きになり始めてたのかもしれない。
温かかったな、学さん。
大好き、学さん。
それなのに、誤解されちゃって……
そのとき、ケータイが震えるかすかな音がバッグから聞こえた。
取り出して液晶をみると、母からだった。


