女優デビュー

『黙っててごめん。
でも公表するなんて私は聞いてないし、それは困る。
瑞貴に確認するわ』

「ねえ、なんで私をオーディションに出させたの?
悟君に会いたいなら原作者として現場に行けばいいじゃん」

『うん、そうなんだけど。
でも、あくまでも私は覆面作家でいるつもりだったからね』

「だから、私を使ったわけ?」

『うーん、正直言うとね……
私の書いた原作のヒロインは、千夏がモデルなのよ』

「私がモデル?」

『そう。だからね、千夏に演じて欲しかったの』

「……マジ?」

『うん、マジ』


はああ~

私はため息をついた。


母が原作者で、ヒロインは私がモデルだったなんて。

次々と降りかかる衝撃の事実にくらくらしてきた。