女優デビュー

私は意地悪な気持ちがムクムクと沸いて来るのを止められなかった。

「いつどういう風に公表するんですか？」


石田さんの眼鏡が光った。

私が公表に同意したと思って驚いたのだろう。

一方、社長は目を細めてにこやかに答えた。


「こういうのはタイミングが大切なのよ。
私としてはあなた自身の口からファンに向けて秘密を打ち明けるって感じにするのがベストだと思ってるの。
ブログでにするか、今度あなたの写真集を出すことも考えてるんだけど、その発表の時にしようか検討中よ」

「そうですか」


私が返事をすると石田さんが慌てて口を挟もうとしたので、私は手を挙げてそれを制し、社長に向き直った。

「私は公表には反対です。
でも残念ながら、私の意志に関係なく、このことは近いうちに最悪の形で公表されることになると思います」


社長と石田さんが訝しげに見つめてくるのを見て満足した私は、ニッコリ笑って続けた。