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その日の撮影は、奏真君は出番がなく休みだった。

悟君には、用があるので今日のセリフ練習は休むと伝えてあった。

準備万端。


私は撮影が終わりに近づくにつれて、ドキドキと緊張が高まっていくのを感じていた。


撮影が終わると、学さんに声をかけられた。


「個室のある店を予約してあるから、荷物を取ったら車で行こう」

「はい!」


私は学さんと一緒に楽屋へ向かった。


楽屋のある廊下への角を曲がったとき、私は自分の部屋の前に怪しい人影を見つけた。


腰をかがめてドアの向こうを窺っている。


「あれ?誰だろ、あの人」