女優デビュー

「まあ、噂の絶えない業界だからな。
誰を信じるかは自分の目で見極めて、自分で判断するしかないと思うよ。
15歳の千夏ちゃんにそれを強いるのは酷な気もするけど、社会に出て働くってことは親の庇護のもとから自立するってことだからな。
噂に振り回されないように自分自身をしっかり持たないとな」


「はああー、そっかあ」


なんだか、憂鬱。


私が大きくため息をつくと、学さんはクスクス笑った。


「まあ、俺はいつだって千夏ちゃん味方だよ。
つっても、それを信じるかどうかは千夏ちゃん次第だけどな」


私は学さんの顔を見て苦笑いした。


そうやって見ているうちに、学さんに関するピースがまだ一つ残されたままなのを思い出した。