女優デビュー

車に乗ると、私はすぐに学さんに問いかけた。

「学さん、知ってたんですか?」


学さんは前方を見たまま表情を変えずに答えた。

「ああ、知ってた。
っていうか、俺も当事者だしね」


当事者?

私はギョッとして身を引いた。

すると、その気配を感じたのか、学さんは眉を寄せた。


「おいおい、当事者っつっても俺は違うよ。
ただ、一方的に奏真に懸想されてただけ」


「けそう?」


私が聞きなれない言葉に首をかしげると、学さんはため息をついた。


「できるだけソフトに言いたかったんだが……
つまり、アプローチされてたんだ」


ああ、なるほど。

私が頷くと、学さんは話を続けた。