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撮影は順調に終わり、私はいったん自分の楽屋に引き上げた。

喉を潤し、荷物を取って奏真君の楽屋へ。


今日、初めてディレクターさんに演技指導された。

今まで私の演技には何も注文出してこなかったのに。

そのとき相手役だった悟君が「千夏ちゃんが上手くなってきてる証拠だよ」ってそっと耳打ちしてくれたのが、すごく嬉しかった。


練習の成果が出てきたのかな。

ううっ、嬉しいよお!

今日も頑張ってセリフ練習しよっと!



私は足取り軽く、廊下を歩いていった。


奏真君の楽屋に着き、ノックしようと手をあげて、私は固まった。

中から怒声が聞こえてきたからだ。