女優デビュー

「１月から始まる連続ドラマの撮影が去年１０月頃から始まったの。
主演は学君、相手役もそこそこ売れてる女優さんだったわ。
で、そのドラマに『ティメンズ』の新人女優も出てたの。
ほんのちょい役だったんだけどね。

その子は女優とは名ばかりで、それまではグラビアをやってた子だった。
でも、山本社長はなんとかそのドラマでその子を女優として売り出したかったの。
知名度を上げようと必死だったわ。
で、学君とその子のでっちあげ記事を週刊誌に書かせたのよ」


「でっちあげ？」

私は驚いた。


「ええ。
嘘の記事よ。
学君とその子は恋人同士でもなんでもなかった。
ただ、共演者やマネージャーも含めた大勢で忘年会に行っただけなの。
ところが、店を出たところで、彼女に学君にしなだれかからせて、いかにも、なポーズを取らせたのよ。
で、それをカメラマンに撮らせて載せさせた」


「ホントに？ひどいっ！」

それが事実なら、あまりにもひどい話だ。

「ええ、ひどい話よね」

ナッキーさんは神妙に頷いた。