お母さんとあの男との間に生まれた私。まともに生活してた記憶がない。
弟が生まれた頃に、リストラにあったアイツは、私たちに物心が着いた頃には、賭博依存症とアルコール依存症だった。

 お母さんが色んな内職をして作ったお金で細々と生活してた。
なんせ、アイツは賭博で作った金は次の賭博かお酒に使ってたから、私たちに回す分なんて持ってなかったから。

 私たちにとって、色んな意味で…親は一人しかいない。
そんな感覚が、10歳までには出来上がってた。

 お母さんに手を上げるアイツは、敵ですらあった。

 ある日、テレビに影響されてた…当時小学一年生の弟が、お母さんを殴ったアイツに玩具の剣で対抗した。
その瞬間から、アイツの暴力の対象は…たった7歳の弟に変更された。

 庇うお母さんをあの子から引き剥がして、子供の体を踏みつけているアイツは…私には、悪魔か何かに見えた。