私の夫は王になれない俺様

アンドリュー様に、私のお付きのメイドたちが駆け寄るとタオルで、流れおちていく血を拭いていた

「ロバート様に…」

子爵夫人が私に刺繍入りのタオルを渡してきた

あ…これ…

私はタオルを手に持って、立ち上がるとロバート様に近づいて行った

ロバート様は剣を鞘にしまうと、よろっとバランスを崩してそのまま地面に倒れこむ

え?

「ロバート様っ」

私は小走りでロバート様に近づくと、膝をついて顔を覗き込んだ

ロバート様の目はうつろで、呼吸が荒かった

私は手に持っているタオルで、汗を拭くと、じっとロバート様を見つめた

金髪の綺麗な髪が、汗できらきらと輝いている

「らいじょうぶらから」

「はい?」

背後からの声で私は、振り返った

タオルで鼻を押さえているアンドリュー様が、笑顔で立っていた

「少し休めば、いつものロバートに戻る
あ、それともすぐに戻ってほしい?
それならねえ…足、見せて…」

アンドリュー様の目尻が落ちて、私のドレスのスカートに手がのびた

え? ちょっと…

私はスカートの裾を押えようとしていると、『カシャン』と音ともに眩しい光が視界の隅で見えた

「殺すぞ」

ロバート様が上半身を起こして、剣先をアンドリュー様の喉仏の手前で止めて、鋭い目で睨んでいた

「ねっ? 起きたでしょ?」

アンドリュー様がにこっと私に微笑んだ