あたしは雑貨を並べるふり
をしてアトム君に近づく

ただ興味がわいたのだ。

アトム君は左手にペンを持ち
手紙を書いているようだ

さっき買ったポストカードに

しばらく書き続け席を立つ



あ、こっちにくる

ドキドキ ドキドキ








ドキドキ?!

なぜドキドキする

理由はわからない。

きっと理由はない。






アトム君はあたしと一定の
距離を保つように、止まり

「あの、切手とかないですか?」

ふへぇ?

また変な声をだしてしまった。

あ、あ、ありませ..

「1枚ならありますよ」

後ろから木下さんが答え、
自分のお財布から切手を1枚
出してアトム君に渡して
その場を離れようとした。

「えっ..これ私物..?
ていうか!お金払います!」

「いや、余ってたから」

木下さんの優しい笑顔

「でも...」

アトム君は少し困った顔。

「...じゃあ、また来て下さい
うちのお店に。良かったら」

木下さんは笑顔で軽く一礼して
キッチンへと戻って行った。



「ありがとう」



アトム君は笑顔で店を出た

八重歯がチラリ






太陽に照らされ栗色の髪が
きれいに透けていた。