ピンポーン



ちょうど準備が終わった時、チャイムが鳴った。


気づけば、修ちゃんが毎朝迎えに来るのが習慣になっていた。



ガチャ


「おはよう」


いつもと同じように爽やかな笑顔の修ちゃん。


「おはよう修ちゃん」



……修ちゃんにはまだ、昨日のことは話していない。


ちゃんと自分から話さなきゃ、って思ってるんだけど。


でも、修ちゃんは言わなくてもわかってるような気がする。


今までだってそうだったし。


それだけ、修ちゃんは私を……私たちのことを見ててくれたのかもしれない。


やっぱり、お兄ちゃんみたい。


……って言ったら、修ちゃんは傷ついちゃうかな?




「千鶴、よかったね」


修ちゃんはそう言って、頭を撫でた。


……ほらね。


「何が?」


でも私はあえてとぼけて聞いてみる。


「べっつにー」


そう言って修ちゃんは口角を上げて笑った。