首を左右に振ったのと同時に、トモに抱きしめられた。


きつく、強く、だけど、優しく──。


ソファの背もたれに押しつけられるように、トモの重みを感じる。


でも、不思議と苦しくはない。


合わさった胸からは、自分のなのかトモのなのかわからないくらい、早く鳴り響く心臓の音がする。


「自惚れじゃなかったら……千鶴からキスして」


耳元で熱く囁かれる。


真っ赤になってしまうようなセリフだけど、今は自然に受け入れられた。


少しだけ力の緩んだトモの腕。


膝で立っているトモの顔は、私と同じくらいの位置にあって。


涙で濡れた目で見つめると、トモはやっぱりゆらゆら揺れていた。


両手をそっと頬に添える。


トモは少しだけ目を細めた。



それから、初めて自分から──触れた。


「っん……」


軽く触れたつもりだったのに、気づいた時には深く重なりあう唇。


また背もたれに押しつけられ、呼吸すらままならない。


何度も角度を変えて深く交わる。


「……す、き……」