──あの日の美咲とのやり取りを思い出しながら放課後、部活に行く前に体育館を覗いてみた。
「あ、いた……」
体育館にはトモの姿があって、ドリブルしたりシュートしたりしていた。
アップ中かな?
私が覗いてる反対側の入口には、顧問の先生と話している、北川先輩の姿も……。
「あれ、長谷川さん」
入口の近くにいた男の子が私に気づいた。
確か……トモと同じクラスの坂本くん。
「何? 智明?」
私の視線を辿るように、坂本くんがトモの方を見た。
「あ、うん。……あっ、やっぱいい!」
その声が思った以上に体育館に響いて、トモがこっちの方を振り向いた。
目が合って、一瞬固まったかと思ったら、ボールを脇に抱えてゆっくりこっちに向かって歩いてくる。
……なんか気まずい。
しかも、やっぱり機嫌悪そうだし……。
「何?」
入口手前のちょっと低い場所にいるせいで、トモがいつも以上視線を下げて私を見ている。
こんな風に、ちゃんとトモを見るのも久しぶり……。
「何?」
何も話さない私に、トモは同じ言葉を投げかけた。
「あ……っと」
私も別に何か話があってきたわけじゃなかったから、思わず言葉に詰まってしまった。
「用ないんだったら戻るけど」
どこまでも抑揚のない声。
トモのこんな感情のない声を聞いたのは初めてだった。
「あ……、試合、あるんだよね。頑張って……」
「あぁ」
「……美佳ちゃん、心配してるよ?」
「別に……」
私の視線がどんどん下がっていく。
なんだか、ちゃんとトモの顔を見ることが出来なかった。
「修ちゃんだって……」

