「えっ? なんで!?」

「えっ!? ちーちゃんの知ってる人?」


この辺でもやっぱり珍しいN高の制服。


ましてや、なんの接点もない公立高の前にいるもんだから、校門を通る誰もが、修ちゃんをチラチラ見ながら通り過ぎていった。


「ちーちゃん! 誰!?」


美咲が私の腕をつかんで揺するから、廊下の壁にゴミ箱がガンガン当たってうるさい。


「あ……お、幼なじみ……?」


美咲の興奮ぶりに、なぜか疑問系になる。


「誰か待ってるんだよね、きっと? ちーちゃんかな? まさか……彼女とか!?」


彼女……かぁ。


でも、今まで修ちゃんがここに来たことなんて一度もないし。


最近出来たとか?


……まさか、私を待ってる?


「ちーちゃん、行ってきたら?」

「え……」

「だって居心地悪そうだしさ」


美咲が苦笑しながら言う。


確かに、通る人がみんな見るんだもん。


居心地は悪い……よね。


「ゴミ捨ては私がやっとくから」


そう言って美咲は、私の手からゴミ箱を奪った。


「……ごめんね」

「その代わり、明日、詳しく聞かせてね」

「…………」


詳しくって……何を聞かれるんだろう。


明日に少しの不安を覚えながらもお言葉に甘えてゴミ箱を美咲に預け、カバンを掴んで校門へ向かった。