「……はあぁぁぁ……」


規則的な呼吸をし始めた千鶴を確認してから、俺は大きく息を吐き出してうなだれた。


なんだ、あれ……。


「……やばいだろ……」


熱のせいで赤く染まった頬。

熱のせいで潤んだ瞳。


“行かないで”

“傍にいて”



──今、最高に自分をほめてやりたい。



ふと千鶴に視線を戻すと、頬がまだ少し赤いけど、呼吸が苦しそうな様子はない。


汗、かいてるな。


額に貼り付いている前髪をそっと払った。


濡れたタオルでも持ってきてやろうかな。


だけど、いないとわかってまた、あの顔されてもなぁ……。



しばらく顔を見て、ぐっすり眠っている様子を確認してから、静かに部屋を出た。