「……せっかく下がってたみたいだったのに、また熱上がったろ」


抱きとめてくれたトモはため息をひとつ吐いて、私をベッドに座らせた。


「…………ったく」



──呆れられた。




勝手に不安になって、わがままばっかり言ったから……。


「……ごめっ……、嫌いにっ……ならな……いで……」


熱のせいなのか、それとも夢のせいなのか。


気持ちがうまくコントロール出来なくて、子供みたいに泣きじゃくることしか出来ない。



「ならねーよ」

「ごめ……ん……」

「いいからもうちょっと寝とけ。ちゃんとここにいるから」


トモは私をそっとベッドに寝かせると、枕元に片肘をついて床に座った。


「ずっとここにいる」

そう言って肘をついていた手で、私の頭をゆっくりと撫でた。


その手に安心したのか、ホントに熱が上がってきたのか、だんだんまぶたが重くなってくる。



「おやすみ。千鶴」




その声を最後に、私は意識を手放した──……。