「……はっ?」

今、なんて言った?

つき合う? つき合うって言ったのか?

「君は僕の
 運命の人だ!」

「うっ…んめいの?」

「ずっと探してた
    …君のこと」

なにを言ってるんだ? つき合おうとか、運命の人だとか、わけがわからない。

今夜の出来事をふりかえり、私を好きになる理由が何ひとつ思いうかばない。

「つき合うっていうのは…私たち恋人同士になるってこと?」と聞きかえす。

「そうだね、つき合うってそういうことかな」

「それはその…
キスしたり…とか?」と私は言う。言ってから顔が熱くなる。

王子とキス!
王子とキス!

胸がドキドキ。息が苦しい。ノドがカラカラに乾いて声もまんぞくに出ない。

「僕たち、気があうよ」

「気……!?」

私はあぜんとした。

今夜は驚きの連続だったが、今の言葉がなにより驚いた。一体どういう理由で『気があう』ということになるんだ?

…王子、あんた
 頭がおかしいよ…

「私たち、お互い、なにも知らないし」と、気持ちを落ち着かせながら言った。

「これから知ればいい」
と王子は言った。「僕に時間をくれないかな。半年、いや1年。僕のこと知れば、きっと好きなとこ見つかるよ」

息が苦しい。
苦しくて涙があふれる。いつ気絶してもおかしくない。このままだと3分以内に私は倒れる。

とにかく、この場から逃げなくては!