「……」

 その様子に、ベリルは目を細めた。

 幼児後退だ──本人にその意識が無くとも、ふと幼児期に戻る事がある。

 戦争を体験した者に時折、見られる症状だ。

 彼女も例外ではなかったらしい。

 子供のように、ただじっと不安から逃げるようにすがりついている。

 ノインの心は未だ眠りに就き、その傷を癒しているのかもしれない。