黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 しばらく車を走らせ、たどり着いた場所は住宅街から少し離れていた。

 割と大きめの家よね……ノインは、一戸建てのシンプルなデザインの家を眺めた。

 そして、表札の名前が違う事に気がつく。

 隠れ家みたいなもんだから偽名かな?

 などと考えながら、視界は家を探る──普通の家に見えていたが、解る人間には解るほどの造りに目を丸くする。

「はあ~……」

 ぱっと見わかんないけど、素材は凄いんじゃないの? この家……コンコン、と軽く壁を叩く。

 玄関の鍵も指紋認証だった。

「留守が多いのでね」

 防災と防犯を兼ねている……とベリルが笑みを見せる。