黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「どうやって見つけたのか、反物質に似た性質を持つのにそれよりも扱いは容易い。あの物質の発見はあまり喜ばしいものではない」

「相手が相手なだけに?」

「それもある。人が持つにはまだ早い」

 まるで神様のような物言いに、ノインは怪訝な表情を浮かべた。

 でもまあ確かに、あんな爆発力のあるモノを人類は持っちゃいけない気がする……ノインは考えて、あの時の爆発を思い起こした。

 いくら老朽化していた廃墟とはいえ、あの爆発はとんでもなかった。

 ハンドガンのカートリッジサイズで廃墟の3分の1が消失したのだ。

 よくあれで生きてたと、自分の体を改めて確認した。

 もちろん、ベリルが自分の体を盾にしてくれたからだけど……ベリルはベリルで、ノインを抱き寄せたあとに、近くにあった鉄製の頑丈な扉を盾にした。

 その鉄の扉も、綺麗サッパリ無くなってたけどね。

 そんなモノを持っている相手と戦わなければならないのだ、ノインはちょっとだけ怖くなった。