黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 シャワーを終え着替えを済ませたベリルは、キッチンで夜食の準備を始める。要は酒のつまみだ。

 そうして、ブランデーとスモークチーズやスライスサラミを乗せた皿を手にし、リビングに戻ってくる。

 上品にソファに腰掛けたベリルを、ノインがジッと見つめた。

『生きるのがヘタクソ』

 あれはどういう意味なんだろう。

 聞きたいけど、誤魔化されそうなんだよね。

「何かね」

「別に」

 そっぽを向いたノインに、クスッと笑みをこぼした。