ベリルは欧米人に比べれば174㎝と高い方ではない。

 しかし細身の体型は貧相ではなく、落ち着いた雰囲気と際立つ存在感に整った容姿は女性の目を引く。

 本人にその自覚が無いのか、今更という意識なのか、時折注がれる視線にまったく関心を示さず上品に食を進めていた。

 そうして食事を楽しんで会計を済ませる──

「あ、ちゃんとお金払うのね」

「私は追いはぎではない」

 つぶやいたノインに眉をひそめながら、クレジットカードをレジに差し出す。