黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「……」

 ベリルは、ブランデーを傾けながらノインを見つめていた。

 彼女がいま何と闘っているのか見当はついている──ライトの灯りでは普通の金髪に見えるが、太陽の光の下では彼女の髪は薄く青みがかっていて、ウェーブのかかったショートには少々勿体ない色合いだ。

 せめて、肩まで伸ばせばもっと映えるだろう。

 目の色は光の加減によって多少変化はするものの、綺麗なオレンジに見える時があり「黄昏色」といった処か。

 そう、ノインはかなり印象的な容姿をしている。

『組織の顔』として、有効に使いたかったに違いない。

 しかし、国の正規軍に阻止されてしまった彼らの心中は察するに余りある。

「クク……」

 ベリルは薄笑いを浮かべた。