黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「戻らないのならば殺してしまえ、だ」

 つぶやいた言葉にドクンとノインの心臓が高鳴った。

 人を殺す時の、あの高揚感──あの頃に戻るのは嫌だと言いつつ、心の奥底ではそれを望んでいる。

 怖い……ノインは自分の体を強く抱きしめた。

 自分が自分でなくなりそうな感覚、人を殺して笑っていたいつかの自分が呼び覚まされそうだ。

『ノイン、だめよ!』

 過去の闇が起き上がってこようとする度に、カレンの顔が浮かんで雲が晴れていく。