黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

 自然とそういう習慣がついている彼にとっては当り前の事だが、入ってきた女性の雰囲気に眉をひそめた。

 あの動きは一般の人間ではないな……と目を細める。

 美しい金髪は緩やかなウェーブを描き、その瞳はオレンジとも黄色ともとれる、不思議な色合いだ。

 まだ若いその女性は、誰かを捜しているように店の中をキョロキョロと忙しなく目を動かしていた。

「!」

 ふと目があった──