「ふむ」

 ベリルはそれを確認したあと、バックポケットから携帯端末を取り出し、カーナビの下にあるくぼみにはめ込んだ。

 呼び出し音が車内に響く。

 数秒後──メロディが途切れて、明るい女性の声が応えてきた。

<ハアイ、ベリル!>

「カナン。ノイン・ツバクラという女性の大学に休学届けを出してくれないか」

「えっ!?」

<OK!>

 それだけ告げて、通話を切る。

「退学にはなりたくなかろう」

「う」

 そうでした……さすがに無断で休み続けるのはマズイ。