「プハーッ美味い!」

 スコッチを一気に飲み干し、キムは満足げに口の端を吊り上げた。

「休暇だって?」

「うむ。大きな仕事だったのでね、ここいらで少し休みたい」

 それにキムは笑って、

「引っ張りだこのお前さんが、そんなに休んでいいのかね」

「少しくらい見逃せよ」

 発して、同じように笑みを返す。

「相変わらず歩き回ってんのか」

 言いつつ、キムが新たなスコッチを注文しようとしたそのとき──

「!」

 ベリルは、店に入ってきた女に目を移した。