黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

 ひしひしと伝わる怒りに、ベリルはただ静かに彼女を見つめていた。

「どうも互いの意識に相違があるようだ」

 その言葉にノインはカッとなる。

「バカにするな! あたしは覚えてるんだ、あんたは彼女を殺した。あたしの目の前でナイフを突き立てた」

 ベリルはそれに眉をひそめた。

 2年前……覚えが無い。

 確信に満ちた目だが、記憶にはない。