「あなたは、あたしの全てよ。あたしの全てを変えてくれた人。全力で愛した人」

 ノインは力の限りベリルに腕を伸ばした。

「あなたはあたしを生まれ変わらせてくれた。最後も、あなたの腕の中でいたい」

 ベリルはノインを車イスから抱きかかえ、草原にゆっくりと彼女の体を寝かせた。

 草原を滑る爽やかな風と、ベリルの鼓動が今のノインの世界全てだ。

 間近に見えるベリルの顔に、目を細める。

「あなたは、命を見続けていくのね。誰もが愛する、そのエメラルドの瞳で」

 ノインは震える手をベリルの胸に当てる。