「!」

そんなノインの肩を、誰かが軽く叩く。

「よっ」

 振り返ると、そこにいた男がノインに笑いかけた。

「だれ?」

「覚えてない? ほら、初めにベリルといた」

 親指で自分を差す。

「えー……と?」

「おいおい、そりゃないぜ」

「あっ! 思い出した。ベリルを置いて逃げた人」

 その言葉に、キムは声を張り上げた。

「誰が逃げただ! あれが最良の対処なの! でなきゃベリルがスムーズに動けないだろ」

「!」

 ああ、そうか……ベリルは、怪我をする彼に痛みを感じるんだ。

 そういう人なんだね。今は、それがはっきり理解出来る。