ノインは車を駐め、廃墟に足を踏み入れた──灰色に彩られた建物群の窓には、ガラスが張られていたであろう痕跡が垣間見え、管理を放棄された空間は遮断でもされているかのように静かだ。

 乾いた風が廃墟を吹き抜け、か細い音を響かせていた。

 どこからともなく注がれる数多の視線にイライラする、こいつらも殺してやろうか……そんな事を考える。

 スッキリとラインを見せる服装には、武器を隠すこともなく。

 肩と右太ももに装着されたホルスターには、ハンドガンとナイフが収められていた。

 ノインは、まとわりつく視線に苛つきながらも声を張り上げる。

「どこにいる! 隠れても無駄だ。あんたは逃げられない」