黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「ノイン」

 ギュネイアスは苦い顔でノインを睨み付けた。

「そういえばあたし、本当の名前、知らないんだよね」

 ふとつぶやいたノインをベリルは一瞥する。

「あたしは9番目だからノイン。何の9番目かは聞いたけど忘れた」

 だから、今はこれがあたしの本当の名前……ノインは小さく笑った。そして、ギュネイアスを見据える。

「確か、あんたが付けてくれたんだよね」

「……」

 ノインの強さを知っているギュネイアスは、オレンジの瞳をただ見つめた。

「逃げ場は無い。武器を降ろせ」

 ボスとギュネイアスはベリルを睨み付けた。