格納庫の裏口から出ようと、2人の男が足早に歩く──

「こちらにヘリがあります」

「よ、よし」

 1人は深緑の軍服に身を包み、別の1人の手には四角いジュラルミンケースが握られている。

「それはオメガかね」

「!?」

 背後からかけられた言葉に驚いて振り返る。

「!」

 振り返った1人に、ノインは見覚えがあった。

 鋭い目をした長身の中年──「ベリルを撃て」と命じた元上官だ。

 50代間近の男は、未だその強さが健在のごとく軍服を着こなしている。