黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

 モニタールームで、監視カメラの画像を見ていた兵士2人が驚いてイスから立ち上がる。

「おっ、おい……」

「け、警報を!」

 突然の事にしばらく警報ボタンを押せなかったが、サイレンがけたたましく建物中に響き渡った。

 聞いた全員が見上げ、放送の内容に聞き入る。

<ベリル・レジデントが脱走した。Eブロックを通過──>

「反応が遅いな」

 ベリルはスピーカにつぶやいて、建物の構造を調べながら駆け抜けた。

 それほど大きくは無いが、複雑な構造をしているようだ。