数時間後──ベリルは、元の街に戻っていた。

 銃撃のあった酒場で壁の傷を眺める。

 彼女が最後に放った弾、それが気に掛かった。

 放たれた瞬間の音と衝撃は、初めて聞くものだった。

 普通のカートリッジではない。

 そしてなにより、威力が弱い。

「不発……と考えるのが妥当か」

「ベリル、あったぜ!」

 駆け寄ったキムが、ベリルに小さな金属を手渡す。

 あの弾の薬莢(やっきょう)だ──ベリルは、それを見つめて険しい表情を浮かべた。